徳島の漢方相談薬局”薬のかわむら” 【疲労・疲労感】
2022/05/18
疲れの相談
疲労の正体は?
朝、なかなか起きられない…
仕事がはかどらない…
頭が重い…
常に眠い…
一日一回は「疲れた」と言う…
「疲れとは、体が発する休めというサインです」
一日や二日で疲れはとれるものですが、これが続くと困ったものです。
他に症状はないし、健康診断でも急を要する所見はない。
それでも、疲労がとれない。だんだん寝れなくもなってくる。
慢性疲労です。
学校や仕事を休みたいけど、病院では検査をしても診断書がでない。
そうなると、サボっているのかと思われるし…。
そんな方が急増しているようなのです。
1999年の時点で、厚労省が実施した調査では、約4割の方が半年以上疲労で悩んでいると答えた。
コロナ禍を経験した我々はどうでしょう。きっともっと多くの方が疲労感に苛まれているのではないでしょうか。
疲労とはなにか最近の研究でようやくわかってきました。
大阪大学の倉恒教授らが、慢性疲労について教えてくれています。
①自律神経のバランスの崩れ
②活性酸素の増加
この二つが大きな原因と言います。
①自律神経のバランスの崩れ
自律神経のバランスの崩れは心電図に現れるそうです。
R-R間隔、A-A間隔の心拍変動解析をします。
それによって交感神経(緊張状態で優位になる神経)と、副交感神経(リラックスしている時に優位になる神経)のバランスの比率が算定できる。
健康な人は、目を閉じて安静にしているとその比率は1:1に落ち着く。
ところが、慢性疲労症候群の患者さんはいくら安静にしていても交感神経が副交感神経の数倍高いままなのだそうです。結果、夜になっても寝付けない睡眠の質が低下するようなことが起きるそうです。
②活性酸素の増加
疲れを感じている方は、血中の活性酸素が増加し酸化ストレスが増えている。
採血でd-ROMという方法で血液中の酸化度を知ることができる。
年齢によって基準値がかわるのでそれに注意。
また、慢性疲労症候群患者の唾液からはヒトヘルペス6型というものが多く検出される。
これは常在ウイルスで普段は体内にいて、何もしないおとなしいウイルスなのですが、疲労が重なると10倍くらいに増えるらしい。休むと減るが慢性的に疲労を感じるようになっている方はいくら休んでも減らないらしい。
まだ現在では保険適応で検査はできないので、今後に期待するところですが、原因はわかった。
さらに倉恒教授によると、疲労のメカニズムは5つのストレスによるものと言われています。
①人間関係や仕事上の精神的ストレス
②過重労働などの身体的ストレス
③紫外線や騒音などの物理的ストレス
④化学物質や残留農薬などの化学的ストレス
⑤ウイルスや細菌感染などの生物学的ストレス
があると。
①や②は疲労の不動のトップ原因です。
③はタンパク質や遺伝子も傷をつけます。
④は引っ越しなど新しい環境で引き起こされることも多いみたいです。頭痛がしたりと具体的な症状がでやすくまた、個人差も大きいみたいです。
これら五つのストレスが絡み合い、体内の神経系、免疫系、ホルモンなどの内分泌系のバランスが崩れ、慢性疲労を起こすということがかなり明確になってきました。
”疲れを残すと免疫機能がおちてくる。そこにウイルスが活発になり免疫機能がオーバーワークになってくる。免疫機能は免疫物質をつくり対抗するがそのとき作り出すインターフェロンは脳にとっては悪影響。これが不安や抑うつ、痛みを引きおこす原因にもなっている”
また、インターフェロンはセロトニン(幸せホルモン)の減少を引き起こす。
疲れてくると、何だか知らないが涙が止まらないという方もいる。こういうメカニズムなのだ。
きっかけはちょっとした疲れかもしれない。しかし、放置しておいたり、無理をして休まないでいると悪いスパイラルに入り込んでしまう。慢性疲労だ。
「疲れたぁ~」は身体からのSOSサイン。まずはゆっくり休むこと、明日できる事は明日にまわしていち早く布団に入ってください。
疲れの感じ方は人それぞれ。疲れにくい身体つくりをするのも予防のひとつ。
いつでも相談にきてください。
※「暮らしと健康」~疲労の正体~ 参照