おしゃべりばぁば 3話
2021/06/15
大きな森のおばぁちゃん
北進を続ける象たち
15頭のアジアゾウの群れが、中国南部で生息地の北限を超えるような謎の北進を続けているというニュースがあります。
本来ならアジアゾウは北限の中国南部を超えないそうです。
象の群れがいつ故郷を離れたのかは分かっていないが、移動に気が付いたのは4月。
17頭のうち2頭は引き返した模様。
生まれたばかりの小象がいたので、2頭は移動をやめたよう。
環境の変化で保護区の餌が少なくなり、引っ越し先を探しているのではないか?
また、リーダーが経験不足で道に迷ったのかもしれない。
など、原因は分かっていない。
このニュースで思い出した絵本があります。
「大きな森のおばぁちゃん」
お話の主人公はゾウのエレナです。
エレナにはおばあちゃんゾウがいます。
干ばつになると、ゾウの群れは草や水を探し求めて旅をします。
おばあちゃんゾウの知恵袋だけが頼りで、おばあちゃんのまわりには、大勢のゾウが集まってきます。
それも千頭も。
先導はおばあちゃんです。
とても過酷な旅です。
途中、バタっと倒れる仲間を助けることさえ許されません。
やっとたどり着いた水や木のある森では…
大勢のゾウが、森の木の葉を食べ始めたら、だいたい3週間で、全部食べつくしてしまうほどの小さな森。
もし、その間に雨が降らなければ、全員が飢え死にになってしまいます。
まずはおばあちゃん達がおなかいっぱいにします。
「エレナもそのうち森は象が作るものだということが分かるようになる。また50年後には会えるから」
と言って、おばあちゃん達は群れから離れ、お昼寝に行きました。
「おばあちゃんのお昼寝を邪魔してはいけないよ」
と、いつもにないお母さんの厳しい言葉。
エレナは、ゾウ達みんなが、あの森の草や木を食べ始めたら、3週間しかもたない。と聞いていたが…でももう、8週間以上たっている。
たくさんのゾウがお昼寝に行って、ゾウの数がすごく少なくなっているせいだとすぐにわかりました。
お昼寝は年寄った順番に…。
50年経って、干ばつがやってきたとき、エレナは群れで最年長になっていました。
ゾウの群れを守る役目はエレナです。
緑と水を求めて長い旅が始まります。
そして、おばあちゃんの知恵の助けを借りようと、昔おばあちゃんが昼寝をした場所に戻ってきました。
「ゾウはね、お腹いっぱいになって死んでいくのが本当の死に方なんだよ」
謎めいたおばあちゃんの言葉。
この言葉の意味をエレナは知ることになるのです。
そこで見たものは大きな大きな緑の森でした。
これなら、エレナをはじめ誰もお昼寝に行かなくてもいいのです。
そうです。
おばあちゃん達は森になっていたのです。
野菜や果物を食べると、それが栄養になって私たちの体を作ってくれるように、動物の糞や体が、土にとっては食べ物で、それが土の栄養になるのです。
土に栄養が足らないと、草も木も育ちません。
全ての命は順繰りに繋がっています。
ゾウが死ぬと、今度はその体が森を育てるのです。
お昼寝に行く前には、ゾウ達は果物をお腹いっぱい食べていました。
ゾウが死んで、土の栄養になるとき、そこにたくさんの果物の種が埋められることになります。
その種が根を下ろし、森がどんどん大きく育ち、孫のエレナの命を守り助けたのです。
ゾウとしての体はないけれど、森の命と溶け合ってひとつになり、後の命を繋げていく役割を果たすのです。
動物も草も木も、とけ合っているというわけです。
全ての命はとけ合っているのですね。
象や鯨の大脳のしわの深さや複雑さは、人とほとんど変わらないそうです。
人と違って、車や飛行機を作りませんが、ゾウの神秘的な生き方は自然のリズムに合わせて生きようとする知恵が満載されているようです。
自然から学ぶことの多きこと。
自然のリズムに添って生きられたら私たちも最高なんでしょうね。